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01 - ベトナムで勤務するための要件 |
ベトナム現地雇用主は、無条件で外国人労働者を雇用できるわけではありません。ベトナムでは、ベトナム人の雇用を守るために、ベトナム人を優先して雇用しなければならないという、制限があります。ベトナム人労働者が代替できない職務、または、ベトナム人を雇用することができない職務においては、外国人労働者を雇用することができます。また、どのような外国人労働者でも雇用することができるのではなく、一定の条件(管理者・業務執行者、専門家および技術者のいずれかの資格に該当する必要があること)を満たした人材に限定されます。
ベトナムでの勤務が認められる外国人労働者(雇用の場合)は、以下の管理者・業務執行者、専門家および技術者のいずれかの資格に該当する必要があります。
役職 |
条件 |
管理者 |
企業法NO.59/2020/QH14第4条第24項(※)に基づく企業や組織の管理者、または、長・副長に該当。私人企業主、社員総会の会長、取締役会の会長、取締役、社長など ※企業の管理者とは、個人事業の管理者および会社の管理者を指し、具体的には、個人事業の主、合名会社の構成員、社員総会の会長、社員総会の構成員、会社の会長、取締役会の会長、取締役、社長または総社長、および会社の定款に基づくその他の管理職に就く個人を含みます。 |
業務執行者 |
企業の支店や事業所の長、または少なくとも1つの部門を管理し、組織の長の指示に従う者。 |
専門家 |
大卒以上、または、同等の学位と関連業務で3年以上の経験を持つ外国人、あるいは5年以上の経験と資格証明書を持つ外国人。特例もある。 |
技術者 |
1年以上の技術の専門教育を受け、関連業務で3年以上の経験を持つ者、または、関連業務で5年以上の経験を持つ者。 |
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02 - ワークパーミットを取得する必要がない外国人労働者 |
2‐1 |
対象者 |
以下の外国人は、ベトナムに入国して(会社等に勤務していても)ワークパーミットを取得する必要がありません(ワークパーミットの免除対象者)。
① 出資額が30億ドン以上の有限責任会社の所有者または社員
② 出資額が30億ドン以上の株式会社の取締役会会長または取締役
③ ベトナムのWTOコミットメントに定める11のサービス分野に該当する(ビジネス、情報、建設、流通、教育、環境、金融、医療、観光、文化・娯楽および輸送)企業内異動の外国人労働者
④ ベトナムに入国し、専門的および技術的なコンサルティングサービスの提供、または、ベトナムと外国の権限ある機関間で締結されたODAに関する国際協定に基づき、ODAを利用したプログラムやプロジェクトの調査、構築、審査、モニタリング評価、管理および実施の任務を遂行するための外国人労働者
⑤ ベトナムの法令に基づき、外務省から報道・広報活動の許可を得ている外国人労働者
⑥ 外国の権限ある機関によって派遣され、国際機関や外国代表機関の管理下にある国際学校、またはベトナムが締結した協定に基づき設立された施設や組織で教育や研究を行う外国人労働者
⑦ ベトナムにおける外国の外務代表機関または国際組織により認められたボランティア
⑧ 管理職、執行役員、専門家、または技術労働者としてベトナムに30日未満の労働期間で年3回を超えない範囲で入国し、勤務する外国人労働者
⑨ ベトナムの法令に基づき、中央または省レベルの機関や組織が締結した国際協定を履行するための外国人労働者
⑩ ベトナム船舶での研修や見習いも含む外国の学校や教育機関で学ぶ学生が、ベトナムの機関、組織、企業でのインターンシップ契約に基づき入国する場合
⑪ ベトナムの加盟している国際条約上、ベトナムにおける勤務が許可されている在ベトナム外国代表機関のメンバーの家族
⑫ 公用旅券を所持し、国家機関、政治組織、または、社会政治組織での業務に従事するために入国する外国人労働者
⑬ 商業的存在を設立する責任者
⑭ ベトナム教育訓練省により認められた教育・研究目的での外国人労働者
⑮ 国際機関あるいは外国の非政府組織の在ベトナム駐在員事務所所長またはプロジェクトの代表者もしくはその運営に正式な責任を負い、販促活動のために、ベトナムに3カ月未満の期間で滞在する外国人
2‐2 |
必要な手続 |
上記の者は、ベトナムに入国するためにワークパーミットを取得する必要がありません。しかし、その代わりに、ワークパーミットの免除確認の申請が必要となります。ベトナムの勤務期間を開始する10日間前に、ワークパーミットの免除確認文書を取得する必要があります。ワークパーミットの免除確認文書を取得するためには、以下の書類等の準備が必要です。
① 申請書
② 申請者(外国人労働者)の健康診断書または健康証明書
③ 外国人労働者の使用需要の承認書(ワークパーミットを取得する必要である場合の手続きと同様)
④ パスポート
⑤ ワークパーミットの取得免除対象者に該当することを証明する書類
※上記の書類は、日本で発行する場合には、日本での領事認証を受ける必要があります。
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03 - ワークパーミットを取得する必要がある場合の各種手続 |
3‐1 |
ワークパーミットの取得要件 |
ベトナム国内で勤務する外国人労働者は、ベトナムでワークパーミットを取得するために、次の条件を満たさなければなりません。
· 18歳以上であり、民事行為能力があること
· 専門的・技術的能力、経験を有し、保健大臣により定められる健康要件を満たしていること
· 外国の法令またはベトナムの法令の規定に従って、刑罰を執行されている者、犯罪記録が残存している者、または、刑事責任を追及されている者ではないこと
· ベトナムの所轄機関による労働許可証が発行されたこと(労働許可証免除対象に該当する場合を除く。)
3‐2 |
外国人労働者を雇用するのに必要となる手続 |
(1)外国人労働者を雇用する予定の職務につきベトナム人の募集を行う
① 上記のとおりに、その職務について、ベトナム人労働者を雇用できないことを証明する必要があります。具体的には、労働局に所属する雇用センターの雇用専用サイトに、外国人労働者の雇用予定のポジションと同様の要件で、ベトナム人の募集を行います。
② 最低でも1か月連続で求人情報を開示する必要があります。
③ 上記の手続等を取るには、1か月程度の期間が必要であるため、外国人労働者を雇用する予定がある場合には、前もって手続をする必要があります。
(2) 外国人労働者の使用需要の承認書の取得
① 上記の手続を完了した後、外国人労働者の使用需要の承認書を取得する必要があります。外国人労働者の使用需要の承認の管轄機関は、省または市の人民委員会ですが、手続の窓口は、人民委員会に所属する労働局になります。最終的に人民委員会の判断を待つ必要がありますので、若干の余裕を持つのが適当です。通常、平均処理期間は、3週間~1か月程度です。
② 既に、外国人労働者の使用需要の承認書を取得して、ワークパーミットを更新するために、外国人労働者の使用需要の承認書を取得する場合には、取得した外国人労働者の使用需要の承認書の番号等を記載して、管轄機関に報告しなければなりません。そのため、取得した外国人労働者の使用需要の承認書は適切に保管する必要があります。
(3)ワークパーミットを取得
ワークパーミットの取得するための必要申請書類は、以下の通りになります。
① ワークパーミットの申請書
② 健康診断書
※ベトナムで健康診断を受ける場合には、指定の病院で発行された診断書が必要です。
日本で健康診断を受けて、その結果をベトナムでの使用することができますが、日本での領事認証を受ける必要があります。
③ 無犯罪証明書
ベトナムに6か月以上滞在する場合には、ベトナムで取得することができます。
日本で取得する場合には、日本での領事認証を受ける必要があります。
④ 投資登録証明書・企業登録証明書、または駐在員事務所の設立許可書
⑤ 顔写真(4.0 x 6.0 cm、背景白、帽子メガネ無)
⑥ 人労働者の使用需要の承認書(手続(2)で取得したもの)
⑦ パスポートの写し(ベトナム国内で公証が必要)
ベトナム国内で公証の認証を受けるために、ベトナムに入国したことを示すスタンプが必要です。
⑧ 管理者・CEO/専門家/技術者の資格証明
管理者/CEO |
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専門家 |
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技術者 |
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⑨ 任命状又は出向契約(企業内異動)、労働契約書(現地採用)
⑩ ベトナム人を募集したことを示す書類
※上記の書類を日本で発行する場合(パスポート以外)は、日本での領事認証を受ける必要があります。
※日本で領事認証を受けるときに、日本語のままで行い、その後ベトナムで翻訳公証を行うのが効率的です。
3‐3 |
その他の注意点 |
① ベトナム側の雇用主は、外国人労働者と雇用契約を締結してから、7日間以内に、当該雇用契約を労働局に提出する必要があります。
② ワークパーミットの期間と雇用契約の期間は、一致している必要があります。ワークパーミットの有効期間外に、雇用関係が存在する場合には、雇用主から外国人労働者に支払う給与は、会社の損失として税務上損金算入することが認められないケースが多いです。
ワークパーミットを更新する時も、ベトナム人の募集や、外国人労働者の使用需要の承認書の取得が必要ですので、ワークパーミットを終了する前に(少なくとも2か月程度)余裕をもって、手続を開始するのが適当です。